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アトガキ
拙作をご高覧いただき、ありがとうございます。
この話は、超妄想コン第97回「お返し」に応募しています。
ある日、遺失物として届けられた壺。
主人公・南原は、何気なく蓋を開けてしまったことで、壺の封印を解いてしまいます。
程なく、南原達の職場に変化が現れます。
悪意の矛先となる大西は、元々多少粗暴でしたが、ルールは守る人物でした。しかし、徐々に我が儘になり、手が付けられないほど横暴になっていきます。
同時に、憎しみや怒り、恨み、憤り、殺意――様々な悪意が大西に向かい始めます。
これらの悪意は、夜毎壺の中に吐き出されていきます。そうして、壺は、少しずつ少しずつ重くなって……。やがて、必要量を超えた悪意は――。
南原達の職場には、平穏な日常が戻ります。しかし――それは壺自身が目的を果たした「返礼」でもありました。
いずこから現れ、いずこへと消えた壺。
悪意を生む素地に潜り込み、人間関係のバランスを崩し、スケープゴートを作り出した、壺。
南原達に取って、壺は不要の存在になりましたが、壺に取っても、彼らはもう不要の存在だったのですね。
壺は、入れ物です。
中に、何を入れるのか、何が入り込むのか。潜んでいるのか。
そして固い蓋は、封印であり警告です。安易に開けてはならなかったのです。
あとがきまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
また、他のお話でご縁がありましたら、よろしくお願いします。
2019.3.13.
砂たこ 拝
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