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私の膨らみが敬の手の中で形を変える。存在を主張するようにピンと尖ったものに熱い舌が這えば、ぴりぴりとした甘い痺れが脳天まで駆け抜けた。
「んっや…ッ」
甘ったるい声を出しながらシーツをギュっと掴む私を見上げた敬は優しく目を細め「…かわい」と呟き、唇を頬に寄せる。
「可愛くないよっ…」
首を横に振りながらそう否定したのは、素直になれないからじゃない。本気でそう思っているからだ。
今でもふとした瞬間に脳裏に過ぎってしまう敬の元カノの顔。
高校が同じだったその一人だけは私も知っている。
出会った時、敬はその子のものだったのだから、知っているのも当然の事だった。
目がクリっとしていて背が小さくて華奢で…。どこかのアイドルグループに居てもおかしくないほど可愛らしい子だった。
それに対して私は初対面の人には必ずと言っていいほどクールそう、冷たそう、と言われるキツい顔立ち。
奥二重の瞳は全然クリっとなんかしていないし、背も165センチあるから華奢とは程遠い。
それに加えて素直じゃないだなんて…。
どこも可愛くない。
あの子と私は似ても似つかない。
なのに、どうして…。
どうして敬は、あの子と別れてまで私と一緒に居る事を選んでくれたんだろう。
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