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…それにしても、眠りから覚めるその瞬間に脳内で再生されたさっきの言葉が蘇る。
きっとあの質問をされたのが昨日で、記憶が真新しかったからなんだろうけど、それにしてもタイミングが悪すぎる。
…マンネリ、か。
心の中でそう呟いた瞬間、
「っ」
いきなり私の腰に何かががしりと巻き付き、そのまま後方へと引っ張られる。その衝動で手からスマホが滑り落ちてしまった。
「…びっくりした…。敬、起きてたの?」
少し首を捻って私のすぐ後ろに居る人物にそう問いかければ「んー…」と眠そうな声が返ってくる。
「…今起きたとこ」
「起こしちゃった?ごめん」
「いーよ。早起きするつもりだったし。…つーかそんな事よりさ」
腰に回っていた敬の腕に一層力が籠められ、隙間がない程に互いの身体が密着する。
「…しーちゃん、誰に連絡してんの?」
私の耳元に顔を寄せた敬は寝起き特有の少し嗄れた声で続きを紡ぎながら、腰に回っていない方の手をするりと服の中に侵入させてきた。
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