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だってそれって私が飲みの席に出る事を少しでも嫌だと思ってくれてるって事…だよね?
「……」
嬉しさが熱に代わり、じわりと頬に集まる。
「なぁ、しーちゃん」
「…なに?」
「それって全員参加?」
「そうだよ」
「絶対?」
「絶対」
きっぱりとそう言えば背後から「ふぅーん」と腑に落ちていなさそうな声色が返ってくる。少し首を捻って振り返れば、至近距離で視線が絡まった。
長めの前髪から覗くのは猫を連想させるような綺麗な瞳。それが此方をジっと見据えている。
「…な、なに?」
まるで探るような眼差しに少したじろぎながらもそう聞けば、敬はまた私の後髪に顔を埋めてくぐもった声を出す。
「しーちゃん酒弱いくせに注がれたら断れないタイプだから潰れんじゃねーかって心配してんの」
「…私そんなに弱くないんだけど」
「ベロンベロンに酔って店出た瞬間にゲロった口で言っても説得力ねえな」
「っな!」
敬が淡々と吐き出したのは私の過去の黒歴史。
まさかこのタイミングでその話しを出されるとは思っていなかったから、羞恥と怒りで火を噴きそうなほど顔が熱くなる。
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