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「次のお客様、どうぞ」
そう考えている内に、僕の順番が回ってきてしまった。僕は少しの希望にかけてみて、持ち帰り用の箱や保冷剤があるのかどうかを尋ねた。
「申し訳ございませんが、お持ち帰り用のケースや保冷材はご用意していないんですよ」
七月後半の夏真っ盛りに、コーンに乗ったアイスが病院までの三十分の道のりを耐えられるとは思えない。電車の床にベタベタと、アイスが垂れる光景が脳裏に浮かんだ。
僕は諦めようとした。
しかし店員の女性は僕にチャンス、と呼んでいいのかは分からないが少しの希望を新たに与えてくれた。
「この暑さでどれぐらいの時間もつのかは分かりませんが、カップでのご提供でしたらコーンよりは持ち帰りやすいとは思いますが……いかがされますか?」
僕はお金を支払い、カップに二つのフレーバーのチョコミントアイスを乗せてもらうと、「ありがとう」と店員の女性に告げて、心持ち早く歩き改札を通り抜けた。
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