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第三章 彼の過去
彼は、思い出した。あの日、あいつがこの世からなくなったことを。
あいつは彼と仲が良かった。
彼にとって、家族みたいな存在だった。
そんなあいつが、飛行機事故で、なくなってしまった。
それから以来、たまに、友達と遊んでいるやつを、見かけると、ついついこのことを思い出してしまった。彼は泣いた。泣いて、泣きじゃくった。あいつを生き返すために、魔法を学んだ。けれど、生き返りの魔法なんてなかった。
それから、彼はぐれた。呪いたいやつは、かたっぱしから呪っていく。
そんな奴になった。あいつがいれば、生き返りの魔法があれば、俺はこうならなかったんだと、彼は思った。彼は、涙を流さないように、鼻歌を歌って、悲しさふきとばした。
けれど、涙が噴き出てきた。まるで、今まで我慢していたように。
きずけば、夜だった。彼は、もうそろそろ、帰ろうと思って、
「タイムトライアル」
と、唱えた。
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