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第二章 赤いドラゴン
影の正体は、赤いドラゴンだった。
はじめ、彼に威嚇していた。
けれど、彼は優しい目でドラゴンを見ていた。
ドラゴンは、しだいに落ち着いてきた。
そして、何かを問うように、彼を見つめた。
長いあいだ、沈黙が続いた。
そして、彼の口が開いた。
「お前は何を言いたいんだ?」
ドラゴンは、それの答えを言うように、
「ガルル」
とうなった。
彼は、ドラゴンの言っていることが分かった。
「そうか。お前の息子を探しているのか。」
と、言った。そして、
「なら、召喚してやるよ。」
と言って、呪文をとなえた。
「ゆうやけの空よ。今までの魔法を作りあげた者たちよ。赤いドラゴンを、ここに
出したまえ。」
そうしたら、ぽん!と、音がなって、小さい、あのドラゴンとそっくりな、赤いドラゴンが出てきた。
そして、彼は
「な!」
と、言って、笑った。ドラゴンも、笑っていた。
そして、ドラゴンは小さいドラゴンと一緒に、去っていった。
その後ろ姿を、彼は悲しそうに見ていた。
「もうすこし、あいつが生きていれば、あのドラゴンと同じだったんだな。」
と、彼はぼそりとつぶやいた。
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