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住宅街の中にある自然公園を突っ切る。このルートが駅までの1番の近道だった。遠くの方に走り回る子供の姿があり、歓声が聞こえてくる。
広志の事前シュミレーションでは、
広:もう明後日卒業式かぁ
千:そうだね
広:一緒に帰れなくなる前に言いたいことがある
千:何?
広:実は、俺・・・・・・
という流れになる筈だった。
それが蓋を開けてみればどう言うことだろう、出だしから上手くいかなかった。
そんな広志の想い人である千果は、さっきからずっと色とりどりの飴が入った袋を手に持ったまま歩いていた。
流石に無視する訳にもいかない。作戦は一時中断し、とりあえず尋ねる。
「それ、どうした?」
「お兄ちゃんがバイト先から大量に貰って来た」
千果より3つ年上の兄のバイト先は焼き肉屋だった筈だ。
なるほど確かに、異常に多い量と、それぞれの味の記載もないような安っぽさが如何にも業務用といった感じだった。スーパーやコンビニでは見たことないが、焼き肉屋のレジ横では広志も目にしたことがある。
そのまま何となく、大きな袋の中でさらに個別包装されている飴1つ1つに視線をやった。
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