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赤はイチゴ、紫はブドウ、だと緑はメロン。レモンは黄色か。後は――。
そんなことを考えていると、
「レモンが1番美味しい」
そう言って千果はまた袋の中から1つ取り出した。数がたくさんあると1つ1つの価値が下がるのか、もはや千果は飴を舐めておらず、噛み砕いては次の飴を口に放り込んでいた。
新しい飴を口に入れながら、今日の夕飯なんだろな、と適当なメロディと適当な発音で自作の歌を歌っている。
「うちは100%サツマイモ」
そのご機嫌な様子につい、合いの手を入れる。
「どして?」
少し前を歩いていた千果が振り返る。
「ばぁちゃんが大量に送ってきたから」
母方の祖母は昔からとにかく自分のハマっているものを大量に送り付けてくる習性がある。
食べるラー油や塩麹ブームの時には段ボールいっぱいに詰めて送って来たし、スムージーをつくるためのミキサーが送られてきたこともあった。
最近は友人との鹿児島旅行依頼サツマイモブームが来ているようで、広志の家にも蜜が入った甘いサツマイモが大量に送られてきた。
「いいじゃん、サツマイモ」
「毎日食うものでもないだろ」
実際広志の家の食卓ではここのところ連日のサツマイモ祭りが行われており、嫌いではないものの正直ちょっとうんざりしてきている。
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