近藤勇の本懐

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 近藤たち新選組は。  その同じ志の者たちを取り締まり続けている。      今日も内心の溜息を押し殺し。    近藤は、夕餉の広間へ向かった。        「おかえりなさい、先生」    手をつけていない夕餉の膳を前に、近藤の高弟、沖田が顔を上げた。    「ただいま、総司」    己の膳の前へと座りながら、近藤はにっこりと返す。    「近藤様、お初にお目にかかります。冬乃と申します。どうぞ宜しくお願い致します」  沖田の向こう隣から女が顔を出した。  「お、貴女が冬乃さんか。ここで働いてくれることになったと聞いてます。こちらこそ宜しく」    近藤が新しく入ったこの女中に会うのは、今夜が初めてだ。  色々複雑な事情があって、沖田が面倒をみていると聞いている。    端正な彼女の顔が、近藤の返事に嬉しそうに微笑んだ。    これは組の若い男たちが騒いでいるわけだと、近藤は内心納得しながら、  椀のふたを開けて食べ始めると、斜め隣で沖田もまた食べ始める。      この男、沖田は、十代のはじめから家族と別れ、近藤の道場 “試衛館” にいた。  そのために近藤は、沖田から父同然の恩師という扱いを受けている。沖田はいつも、近藤が夕餉の時間に帰ることを分かっている日には、近藤より先に食べ出すことはしない。      
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