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「やめておけ。おまえ達では、俺に勝てない。此処でその命、散らすことは無い」
「何だとっ・・」
沖田の放ったその台詞に、沖田の間合いの数歩前まで来ていた浪士達が、いきり立って声を荒げた。
「馬鹿な!この人数相手に何を言うか!?」
「貴様の目は節穴か??」
「死ぬのは貴様だ!!」
入梅前の生ぬるい風が、つらりと路地を駆け抜ける。
「・・・忠告はした」
沖田は。鯉口を切った。
「そんなに死にたいなら来い」
袈裟に打ち込んできた男の一刀が降りきるを待たず、半身でかわすと同時に沖田は、男の首を抜き打ちで飛ばし、
片手で返す一閃で、今の男の隣で突きを繰り出していた者と、まだ振りかぶっていた者、二人の喉元を、立続けに首の皮一枚を残して横合いより薙ぎ払いざま、下がって返り血を避けた。
時にして一瞬で三人が、ほぼ同時に崩れ落ちるのを前に、残る三人が怯んだ、
その隙を。沖田は敢えて狙わず、
血糊を払った刀の切っ先を彼らへ向ける。
「続けるか・・?」
「ッ・・」
案の定、たちまち戦意を喪失した三人が、逃げるためか形勢を立て直すためか今にも退こうとするのを、
「いつ退いて良いと言った」
沖田は留めた。
「勝手に動けば斬る」
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