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先ほど三人が地に座り込んだ後、彼らの殺気が再び俄かに増したのを感知した沖田は、続いて三人の肩がそれぞれ微かに動くのを見留めた。
或いは何らかの方法で背の縄を解いたかと。ならば次に来るであろう攻撃を待ち構えていた時、
案の定、内一人が、手投げの矢を投げてきた。
二発目を制する為、その投げた利き手を狙って小柄を放ち、
そして向かって来た矢を沖田が避ける一寸前、
突然、冬乃が飛び出してきた。
いま沖田の背後で息を殺している彼女を感じながら、沖田は内心嘆息する。
(さすがに想定外だったな)
沖田でもよめなかった冬乃の動きに、沖田は先程の状況下でなければおもわず一笑したところだが。
下手をすれば、彼女は今頃死んでいてもおかしくない。
(矢を止めるつもりだったのなら、なんという無謀な)
今までの彼女を知るかぎり、考えるより先に体が動くような性格にはとても思えないが、あれはどうみても後先考えぬ咄嗟の行動としか取れない。
つまりは、
そうであるならば。
彼女は、沖田を護ろうとしたのだと。
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