沖田総司の刺客 (※多少の恋愛要素あり)

6/11
958人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
         先ほど三人が地に座り込んだ後、彼らの殺気が再び俄かに増したのを感知した沖田は、続いて三人の肩がそれぞれ微かに動くのを見留めた。    或いは何らかの方法で背の縄を解いたかと。ならば次に来るであろう攻撃を待ち構えていた時、  案の定、内一人が、手投げの矢を投げてきた。    二発目を制する為、その投げた利き手を狙って小柄を放ち、    そして向かって来た矢を沖田が避ける一寸前、    突然、冬乃が飛び出してきた。  いま沖田の背後で息を殺している彼女を感じながら、沖田は内心嘆息する。      (さすがに想定外だったな)    沖田でもよめなかった冬乃の動きに、沖田は先程の状況下でなければおもわず一笑したところだが。      下手をすれば、彼女は今頃死んでいてもおかしくない。    (矢を止めるつもりだったのなら、なんという無謀な)      今までの彼女を知るかぎり、考えるより先に体が動くような性格にはとても思えないが、あれはどうみても後先考えぬ咄嗟の行動としか取れない。    つまりは、  そうであるならば。    彼女は、沖田を護ろうとしたのだと。    
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!