眩しい夜に、帰路

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眩しい夜に、帰路

 夜空を見上げる、置いてけぼりの僕。  かじかむ指先で吐息を包み、誰も居ない世界に想いを寄せる。  派手な電飾を着飾った自己主義の塊が、何処かで聞いたフレーズを繰り返すしている。  星々の煌めきと、この街のネオンの輝きは同じか?  かつて抱いた疑問に答えるとすれば、それらは同じだ。  星々の煌めきが、後ろ向きな僕を指差して嗤っている。  艶やかに輝くネオンが、僕の心を引き裂こうとしている。  同じだ。  どちらも僕を惨めにさせる。  周回遅れはやがてお荷物になる。  邪魔者は棄てられるか置いていかれる。  救いなどあるものか。  それは価値のある存在にしか、手を伸ばさないから。  人の価値とは何か?  容姿、性格、年齢、性別、学歴、職歴、財産、頭脳、運動、言動、思想、趣味、自信、魅力 ………  色々あるけど多分、都合が良いか悪いかだ。  マッチポンプでは救われない。  自分で自分は救えない。  誰かの手を掴まなければいけない。  手を伸ばす行為にはリスクが伴う。  だから人は、相手を選ぶ。  自分の負うリスクに見合うかどうかを。  結局は、その方が都合が良いから救われる。  つまりそれは、僕には価値が無いってことだから。     
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