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僕は持ち上げた。
A「浮かせることはできないの?」
彼女は言った。
B「できない、ここまでだ」
僕は言った。
僕たちの目の前にはバックのひもが30センチほど上に向かって伸びている。
その下の部分は床についたままだ。
手は一切触れていない。
A「どんなことにその能力を使うの?」
彼女は言った。
B「いや・・・わからん」
僕は言った。
僕の能力は『物を30センチ上に持ち上げる』能力だ。
浮かせることはできない。
移動させることもできない。
30センチより上は無理。
5キロ以上重いものは無理。
一度持ち上げたら数時間は持つ。
何の役にたつかもわからないような能力を、僕はずっと前から持っていた。
僕は自分のバックを拾った。
A「そうだ!これで私の髪を持ち上げてよ」
窓に映った自分を見ながら彼女は言った。
B「髪?」
A「上に持ち上がったポニーテールにしたいんだけど、いつも下に下がっちゃうんだよね」
B「分かった」
僕は彼女のポニーテールを持ち上げた。
首のあたりにあったポニーテールが後頭部に上がる。
彼女は窓に映った自分の姿を見ながら言った。
A「ありがとう!」
B「どういたしまして」
A「これからまた、頼んでいい?」
B「いいよ」
僕は頷いた。
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