恋の終わり

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恋の終わり

 本当にこんな日が来るなんて、思ってもみなかったんだ。  溢れそうになる気持ちを抑え込むように、私は他愛ない話に必死に相槌を打つ。  勝手にこぼれそうになる涙を塞きとめるように、私はちっとも面白くない話でも笑って見せる。  頭の中を数式でいっぱいにして、呪文のように英単語を唱える。  何かをしていないと、  誰かと会っていないと、  簡単に引き戻されてしまうから。  止まってはいけない。  立ち止まってしまったら、耐えられなくなってしまう。  私の体の中が悲しみでいっぱいになるから。  私の頭の中が思い出でいっぱいになるから。  こんなことになるなんて思わなかった。  こんなことになるなら、なるなら……どうすればよかったのだろう?
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