第六部 刺客

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 走り込みとシャドーをやるために、店の外に出ようとした時、美由が私を呼び止めた。 「りーな。あなたを襲った男の正体が分かったわよ」 「えっ。もう分かったの?速かったじゃない」 「えー。かなりの大物だったわ」 「大物って。誰だったの?」  興味津々に尋ねる私。自分の命を狙ってきた相手に興味が湧いてしまうとは……。一体、どんな神経をしているのだろう。戦い続けてきた人間の性なのだろうか。 「名前は、龍我 昇(りゅうが のぼる)。プロの殺し屋よ」 「龍我 昇?聞いた事ないけど」  かなりの大物と言われたけど、始めて耳にする名前だった。 「この世界じゃ、かなり有名みたい。元外人部隊にいて、そこでかなりの功績をあげているわ。 その後は、いくつかのテロ組織を渡り歩いて、そこでも功績を積んで、今は金さえ貰えば、どんな殺しでも引き受けているって感じかな。あだ名は『死神』。ところで、これだけの相手に襲われて、よくそのくらいの傷で済んだわね」 「これくらいの傷で済んだって……。もし、この傷を負わされていなければ、仕留めることが出来たわよ。もっとも、右肩を破壊してやったから、しばらく失業状態ね」  笑みを浮かべながら話す私を見て、驚きの表情を浮かべる美由。     
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