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第二部 新しい生活
私は、メロウに引っ張られるがまま、暗闇の中を歩いた。どこを、どう歩いているのか、よく分からない。人通りの無い細い道を何度も曲がったような気がした。昼間でも、薄暗そうな感じだ。
やがて、古びた少し大きめの建物が見えてきた。
「あそこが、僕の住んでいる所。りいなちゃんさえよかったら、一緒に住もうよ」
私は笑顔を浮かべて、首を縦に振った。
「よかった。おいで」
メロウに手を引かれ、建物のドアを開け、直ぐ側にあった階段を上る。二人の足音と階段が軋む音が、暗闇の中で単調なリズムを刻んだ。メロウの部屋は西側から二番目の部屋だった。メロウがドアを開ける時の軋む音が、何故か印象に残った。
メロウに案内されて、部屋の中へと入っていく。メロウの勧めで、私はシャワーを浴びる事が出来た。足に喰い込んだ細かい砂利と体の汚れを洗い落とす。大変な事をやってしまった後だったけど、心は不思議なくらいに落ち着いていた。理解しがたい心境ではあったけど……。
私はシャワーを浴びた後、メロウが準備してくれた服に着替えた。ちょっと大きめだったけど、贅沢は言えない。
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