第二部 新しい生活

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 暖かいシャワーを浴びて、安心してしまったのだろうか、不意に眠気に襲われた。このまま眠ってしまっていいのだろうか?いや、これからの事を、メロウと話し合わなければならない。けど、瞼に圧し掛かってくる重さは、半端じゃなかった。全身が一気に気だるくなり、全く力が入らなくなってきた。やがて、物事を意識する力を失い、私はこのまま深い眠りに入って行った。  眩しすぎる太陽の陽射し。街が奏でる雑音。目が覚めた。いつの間に眠り込んでしまったのだろう。シャワーを浴びた後だったかもしれない。私は、自分の体に掛かっていた毛布を払いのける。余りにも明るい陽射しが、はっきりとしない視界に差し込んでくる。南側の窓を開けて、外を眺めてみる。既に太陽は真上に射しかかっていた。かなりよく寝込んでいたみたいだ。こんなにぐっすりと寝込んだのは、始めてのような気がしてきた。  部屋の中を見回してみる。これと言って何も無い部屋だ。中央に小さな茶色のテーブル。部屋の西側にはテレビ、その下にはビデオデッキ。隅には、茶色のギターケースが立てかけてあった。 後は、カラーボックスが二つ。そこには、本とCDが並んでいた。他には、何も見当らなかった。 他の物は、押入れの中に収納されているのだろうか。綺麗に整理整頓されている部屋だ。昨日まで、私が住んでいた部屋とは大違いだ。思わずこの部屋に、居心地のよさを感じた。  南側の窓かから爽やかな風が吹き込んできて、私の髪の毛を微かに揺らした時、入り口のドアが開いた。メロウだった。彼はにっこりと微笑んで、     
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