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「目が覚めたかい。食べ物を買いに行ってたんだ」
メロウはテーブルの上に買い物袋を置いて、私の方を振り向いた。
「適当に食べて」
と優しく語り掛けるように、私に話した。
私は、テーブルに近寄り、買い物袋の中を覗き込む。早速、オレンジジュースに目が行った。オレンジジュースを掴み、素早くパックを開けて、がぶ飲みする。それから、サンドイッチを貪った。昨日の昼から何も口にしていない私の体内は、一気に癒されていく。
「そんなに慌てなくなくても大丈夫だよ。たくさん買ってきたから」
壁に凭れかかりながら、メロウが笑顔で話し掛けて来た。
「うん。ありがとう」
口の中が飽和状態になっていたため、満足に答える事ができない。サンドイッチの後、おにぎりを二個くらい平らげて、ようやく少し落ち着いた。
「そんなにお腹が空いていたんだ」
「昨日の昼頃から、何も食べていなかったから」
「そうなんだ。昨日は本当に大変な目にあったんだね」
「うん……。二度と思い出したくない。昨日は本当に嫌な日だった」
「そう……」
静かに頷くメロウ。私を見つめる静かな緑色の視線の中に、何処となく殺気立った物を感じたけど、余り気にしなかった。空腹が満たされるだけで、今の私は満足だったから……。
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