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私は素早く立ち上がり、メロウと一緒に部屋を出た。アパートの外は、たくさんの建物が、ひしめき合っていた。道は狭く、軽自動車が一台通るのがやっとだ。又、通りは昼間でも薄暗く、人は殆ど歩いていない。街路灯は数本くらいしかなく、夜になったら、真っ暗闇になってしまうだろう。
それに、道は狭いだけでなく、複雑に入り組んでいて分かりにくい。慣れていないだけかもしれないけど、アパートを出て五分くらいしか経っていないのに、もう五、六回くらい曲がったような気がする。碁盤のマス目の上を歩いているような感じだ。
十分くらい歩いただろうか……。狭い道から、一気に広い道に出た。車の通りが激しく、歩道をかなりたくさんの人が歩いている。メロウは広い道に出ると、東に向かって歩き始めた。離されないように必死についていく。もう、一人ぼっちはご免だ。東に向かって、五分くらい歩いただろうか。花屋さんが見えてきた。私とメロウが始めて出会った場所だ。反対側だったけど……。
「りいなちゃん。あの花屋覚えているよね」
「ええ」
「これから、行く所はあの花屋なんだ。僕が働いている場所だから、大丈夫だよ」
私は縦に首をふった。確かにそうだ。メロウはあの花屋さんで働いていた。
「こんにちは。ルイナさんいますか」
メロウは慣れた感じで、花屋の中に入っていく。
「はーい。どうしたのメロウ」
奥の方から女性の声がした。メロウと一緒にこの花屋さん働いている人。一体、どんな人だろう?
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