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中から出てきたのは、とても素的な人だった。さらさらとした長い黒い髪、くっきりとした目鼻立ち、引き締まった口元、全体的にカジュアルな感じだけど、何処かにエレガントな感じを漂わせる服装、私も大人になったら、こんな感じの女性になりたいな。子供ながら、そう感じてしまう女性だ。最も、決してお母さんのようには、なりたくないけど……。
「メロウ。その女の子どうしたの?」
驚いた表情を浮かべているルイナさん。
「この娘は、りいなちゃん。これから、一緒に暮らすことにしたんだ。何かの時は、よろしくお願いしようかなと思って、紹介しに来たんだ」
メロウは驚くルイナさんを目の前にして、笑顔を浮かべながら、淡々と話し始めた。
「一緒に住むって、気は確かなの?この娘を育てると言う事よ。ただ、一緒に遊んでいれば、いいってもんじゃないのよ」
驚きながらも、ルイナさんの意見は冷静だった。昨日、突然出会った見ず知らずの女の子と一緒に暮らす。確かに常軌を逸している行動だ。誰でも心配するだろう。
「分かっているよ。大丈夫だよ。僕、決めたから」
「決めたって……。気は確かなの?」
あまりの突然の出来事に対して、ルイナさんの口調は強くなっていく。
「確かだよ。大丈夫だよ。いい娘だから。それに、僕、子供が好きだから」
「だから、単に子供が好きなだけじゃ厳しいでしょう。子供を育てるって、それなりの覚悟がいるのよ」
「大丈夫。この娘と一緒に暮らす覚悟は出来ているから。それに、この娘もそれなりの覚悟をしているみたいだから」
「ふーん。それなりの覚悟ね……」
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