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ルイナさんは、両手を両膝に当て、私に顔を近づけて、私の表情を覗き込む。目を逸らさずに、ルイナさんの瞳を睨むように目をかっと開く。ここで、目を逸らしてしまったら、全てに負けてしまうような気がしたから。
「いい目しているね。それなりの覚悟は、しているみたいだね。それに、何か訳ありって感じがしないでもないけどね」
ルイナさんは、私から顔を離し、再びメロウと目を合わせた。
「仕方ないわね。但し、途中で根を上げたら承知しないよ。この娘が一人立ち出来るようになるまで、ちゃんと面倒見るんだよ」
「大丈夫。最後まで、しっかりと面倒見るよ」
微笑むメロウ。そして、ルイナさんも微笑んだ。
「りいなちゃんだっけ?ちゃんとメロウの言う事を聞いて、いい娘でいるんだよ。けど、何か困った事があったら、いつも私の所に来て。相談にのって上げるから。分かった?」
「はい。その時は、よろしくお願いします」
私は笑顔を浮かべながら、お辞儀をした。よかった。いい人で……。心からそう思った。こうして、メロウ、ルイナさんと私の三人による新しい生活が始まった。
メロウとの生活が始まって、一年半くらいが過ぎただろうか。全てが新しい出会いのような気がした。朝早く起きて、メロウと一緒に街の中を走る。最初は辛かったけど、体に感じる向かい風が、今ではとても爽やかに感じる。それから、公園でシャドーボクシングのようなものをやる。
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