第一部 出会い

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けど、人を殺す事に抵抗は感じない。その証拠に、私はこの仕事を続けている。まるで、何か見えない力に導かれているかのように……。私はいつからこの世界に身を投じたのだろう。もしかしたら、私は物心ついた頃に、こうなる運命にあったのかもしれない。そう、物心ついたあの頃に……。 車が激しく行き交う広い通りを、赤いランドセルを背負って一人で歩く私。まだ、学校は終わっていないけど、つまらないから途中で抜け出した。学校にいても、私なんて誰からも相手にされないから。それに、先生の話を聞いていても、全く頭に入らない。あくびばかりで、最後は寝てしまう。学校の授業なんて、子守唄みたいなものだよね。  そう言えば、今日も喧嘩をしちゃったなー。何でいつも喧嘩ばかりしちゃうんだろう。分からないや。けど、いつも怒られるのは私。今日なんか、先に私の悪口を言って手をだしたのは、相手の方なのに……。先生は私の話を聞いてくれなかった。酷いよね……。走り去る車が生み出す騒音が響く中、何となく悲しくなってきた。  コンクリートの硬さを足の裏に感じながら、歩く速さが少しずつ速くなっていく。別に家に速く帰りたい訳じゃない。学校にもいたくないけど、家にはもっといたくない。だって、家に帰っても、いつも一人だから……。     
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