32人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
交差点の所に建っている街灯の柱を背凭れにして、全く動かないメロウ。既に、信号は何回も変わっているのに。これから、何をするつもりなのだろうか?それとも、誰かを待っているのだろうか?
建物の影で色々と推測を張り巡らせてみる。
メロウが交差点の所に立ち止まって、十五、六分が過ぎただろうか?メロウの正面の信号が青に変わった。又、たくさんの人達が、メロウに向かって歩いてくるような感じだ。そんな人の波の中で、少し目立つ感じの人がいた。恐らく男性だろう。黒いコートで身を包み、黒いサングラス。シャープな顔つき。結構ハンサムでかっこいい感じの人だった。
その人が、メロウの前を通り過ぎた時!
メロウは素早く体を右回転させて、一瞬、その人の背後に立ったかと思ったら、何気なくその人の脇を通り過ぎた。
そして、その人は、背中から血を吹き出しながら、ばったりと前に倒れ込んだ。
悲鳴を上げる周りの人達。その倒れた人の回りは、あっと言う間に人だかりができ、収拾がつかない状態となった。
けど、私は見た!
一瞬だった!
最初のコメントを投稿しよう!