第三部 未来

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 生か死か!究極の選択が、今、私の目の前に翳された。私だって、今、死にたくない。けど、厳しい訓練を受けて仲間になると言う事は、私も人殺しをすることになるだろう。どっちがいいと言われても、究極の内容だ。生きる道を選んだとしても、救われる事のない未来が待っている。 けど、殺されて、未来が無くなってしまうよりかは、いいかもしれない。  待てよ……。私は、既に人を一人殺しているじゃないか。しかも、母親を!それに、今の状態で大人になっても、明るい未来が私を待っているはずがない。冷静に考えれば、誰でも分かる事だ。明るい未来なんて、今の段階じゃ考えられない。それなら、救われることのない未来に向かって生きるのも悪くない。殺し屋になるために生まれてきた訳じゃないけど、こうなる運命にあったのかもしれない。あの全てが真っ白に染まってしまった時、お母さんを殺し、メロウに出会い、一緒に暮らすようになった日から……。ふと、そう思えてきた。 「どうしたの?りいな。速く答えなさい。これ以上は待てないわ」  ルイナさんの声が厳しくなってきた。  私はかっと見開いた目で、ルイナさんの目を見て、決断した。 「これから厳しい訓練を受けて、仲間になります。殺し屋になります」  私は、はっきりとした大きな声で、ルイナさんとメロウ向かって喋った。 堂々と! 力強く!     
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