第三部 未来

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「そう。分かったわ。それじゃ、明日からかなり厳しい生活が待っているから、頑張ってね。メロウがあなたをしごくことになるから。もし、途中で根を上げた時は、死んでもらうわよ。分かった?」 「はい!」  ルイナさんの声と表情は厳しかった。私はその厳しさに、負けないように力を込めて返事をした。そうしないと、自分の全てが、消失してしまうような気がしたから。 「いい返事ね。メロウ。明日から、鬼になりなさい」  メロウは静かに頷くだけだった。瞳の奥には、まだ悲しさが漂っていたけど、表情は少し柔らかくなったような感じだった。  その夜、私はメロウの部屋で、今まで伸ばしていた長い黒髪を、メロウにバッサリと切られた。 これからの生活で、この長い髪の毛は邪魔だからとの理由だった。鏡に映る、髪の毛が短くなっていく自分の姿を、見ているだけでかなり辛かったけど、私に逆らう事は許されない。どんなに辛い事でも、素直に受け入れるしかないのだ。  こうして、私の未来は決められた。殺し屋としての人生を送る未来を……。
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