第四部 成長

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日が経つにつれ、体は慣れてきたが、トレーニングの内容も複雑かつ激しくなってきた。特に、格闘技の練習は、かなり実践的になってきた。打撃においては、パンチ、蹴り、肘うち、膝蹴りも加わり、更に締め技と関節技も加わった。武器を手にしないで、いかに人を倒すか。いや、殺すか。素手による殺人テクニックを体で覚えていくようなものだった。撲られたり、蹴られたりすればかなり痛い。締め技を掛けられれば苦しいし、関節技を掛けられればかなり痛い。時には失神してしまう時もあった。けど、失神したからと言って、終わりになる事はない。水をかけられて気がつくと、直ぐにトレーニングは再開された。 けど、耐え抜く! それが、私が生き残るために残された唯一の道だから。 やがて、メロウを相手に実戦を想定したトレーニングもやるようになった。私の打撃は一発も当たらなかったけど、何となく楽しさを感じてしまった。いけない感覚かもしれないけど、体を動かして汗をかく事が、本来好きなのかもしれない。 それから、ナイフを使うトレーニングも加わった。本物のナイフは使っていないけど、内容は真剣そのものだ。なんせ、ナイフを使って、どう人を殺すか。トレーニングの重点は、そこにあるのだから。 とにかく、走り込み、筋トレ、格闘技、ナイフと四つを軸にした、トレーニングの日々がひたすら続いた。実戦を想定したトレーニングも日々を増すごとに、激しくなり、私の体にはたくさんの傷が刻まれていった。しかし、ここで、『痛い』、『休みたい』なんて言葉を吐いている暇は無い。余計なお喋りは許されない。ここで、必用とされるのは、集中力と気合だけだ。死にたくなければ、どんなに過酷な場であっても、それを乗り越えて行くしかないのだ。     
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