第四部 成長

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 台車の中に隠れていたメロウが、拳銃を構えた状態で一気に立ち上がり、窓際のソファーに座っていた二人の男に数発の銃弾を叩き込んだ。  メロウが立ち上がると同時に、私も胸元に隠しておいた拳銃を手に取り、後ろを振り向き、一瞬のうちに銃口を後ろに立っていた男に向け、数発の弾丸を放った。  三人とも不意をつかれ、反撃をする間もなく、数発の銃弾を胸元に打ち込まれ、発射された銃弾の勢いに引っ張られるかのように仰向けに倒れた。勝負は僅か数秒で決まった。ルームサービスで入って来た従業員が、まさか殺し屋の変装したものだったとは、夢にも思わなかっただろう。 「りいな。完璧だったよ。帰りもよろしくね」  血塗れになった三人の屍を眺めながら、メロウは微笑みを浮かべ、再び台車の中に身を隠した。 私は軽く頷き、台車の平蓋を元に戻し、何食わぬ顔で部屋を出る。入って来た時と同じように、行き交う従業員やお客さんに笑顔で挨拶を交わしながら、エレベーターに乗り一階へと向かい、台車を押しながら、従業員専用の出入り口へと歩いていく。まだ、ホテル内では騒ぎは起きていない。隣の部屋で騒ぎが起きても、分からないようになっている壁の造りのお陰だ。ホテルの壁に感謝しないと。     
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