第四部 成長

15/15
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
私はそんな事を頭の中で呟きながら、台車と一緒に従業員専用の出入り口を出た瞬間、メロウは台車から飛び出し、私と一緒に、ルイナさんが運転席で待つ車に向かって突っ走り、このホテルを後にした。 「今回の仕事は、りいなと一緒じゃなかったら、厳しかったな。りいなのお陰で完璧にこなす事が出来たよ」 「ありがとう。お役に立てて嬉しいわ」  人を三人も殺しておきながら、満面の笑みを浮かべて会話をする私とメロウ。 なんて二人だ! 罪悪感の欠片もない! なんて思うのも、ほんの一瞬だ。後は何事もなかったかのように、二人とも日常の中に溶け込んでいく。この狂ったような世界観が、私にとっては日常となってしまっているのだ。もはや、後戻りは出来ない。私はこの狂気的な日常を、ひたすら疾走していくしか、生きていけなくなってしまったのだ。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!