手の届かない君

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 その時、ちょうど先生が教室に入って来た。 「はーい、みなさーん。うるさくありませんよ。早く席に座って、授業を始めますよ」  また、今日も眠たい授業が始まった。数学の授業は子守歌、春の陽気も手伝って夢の世界にご招待。そんな時に背中に激痛が・・・。不思議に思って振り向くと、愛華の正拳が顔面に食い込んだ。 「寝るんじゃねえ」 「そこ、高木君、何やっているの」  先生が事態を察知したのか、注意の檄が飛んだ。 「大丈夫です。何にもありません」  愛華が気転を利かして返事を返した。 「何にもない奴が、なんで鼻血なんか出してる。愛華さん、すまんが高木君を保健室に連れて行ってやってくれ」
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