手の届かない君

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 保健室の先生が高木の鼻を押さえていた。 「大丈夫。直ぐに止血するから」 「大丈夫なんかじゃない。高木がしっかりしねえからだろ」  愛華は何が気に入らないのか、保健室の先生にまで食って掛かった。 「高木が、高木が、反論しないから、皆つけあがるんだ。  高木には、あたいみたいになって欲しくない。あたいは前の学校で・・・」 「あなたのことは担任の先生から聞いてる。イジメ、大変だったみたいね。  でもね、高木君は高木君で大変なのよ。家計を助けるために毎朝毎晩、アルバイトで・・・」 「そうだったのか、悪かったな・・・」 そんなことがあったせいか、それからも二人の奇妙な師弟関係は続いた。
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