臆病者のバラッド

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臆病者のバラッド

あなたのことが大好きです! お付き合いしてください! はあ、こんな言葉言えたら、今頃自分の未来はどう変わっているんだろう? 好きなのは一方通行で、その人の前では何も言えなくなってしまう。 こんなのは嫌だと思っていても、口に出せない。 二十五にもなって、なんもかも未経験、それすら羞恥心。 恥ずかしいのよりも、告白して駄目になったら立ち直れないような気がして、臆病。 女子に混ざって相槌を打ってるだけしかできない、自分、馬鹿だよね。 出会うだけでドキドキ。胸が痛い。こんなの恋なんて言うのかな? 先輩のそばに行っただけで、自分だけが馬鹿みたいに赤くなっている、一人芝居。 大好きな先輩。 数人の女子があこがれ、告白するんだと言っては盛り上がっている、そこに入っては引きつった笑顔でいる自分がガラスに映りむなしく思える。 三月、移動、退職、お付き合いでの飲み会が目白押し。 断れないでいる自分も嫌だが、確かめるように、みんな行くよねと聞き返している。 ○○さんと、○○君は不参加だって、それを聞いてから参加すると言っている後輩たちに紛れ、参加を表明。 駄目だなー。 恋愛には不向きだよ。
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