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ゲイを対象にした、風俗店なのだろうか・・・?
ぼくは上手く回らない頭でそう考えてみたが、それにしては手が込み過ぎている。
その時、こちらは見えないはずの向こう側の猫の一匹と、目が合った。
「ロシアンブルーだ・・・」
思わずぼくはつぶやいていた。まだ若いのか、目が円くて大きい。
青み掛かった黒い二つの目が、真っ直ぐとぼくを見ていた。
男がすかさず教えてくれる。
「あぁ、ティルですね。入ったばかりでまだ慣れていませんが、素直で良い子ですよ。彼にしますか?」
ぼくはうなずいた。彼の、ティルの目を見つめたままで。
男がガラスの向こう側から、ティルを伴って戻って来た。
ティルはちゃんと二本足で立っていて、その背の高さは男よりも頭一個分、低かった。
すんなりと伸びた首に、濃い青色の細い首輪をしていた。
部屋へと入るなり、男が言った。
「二つだけ、よろしいでしょうか?尻尾には触れないでください。先程申し上げた通り、まだ馴らし中ですので。爪を立てるといけないので、手枷を嵌めておきますね」
「え・・・」
男はティルの両腕を後ろへと持っていき、手首でまとめた。
その間、ティルはというと男をあの、まんまるな目で見上げているだけで、特に嫌がっている素振りを見せなかった。
「柔らかい素材ですので、大丈夫ですよ。それと、ティルはミルクが好きなので、もしよろしかったら飲ませてやってください。それでは、私は失礼致します。どうぞごゆっくり・・・」
男は実に恭しい一礼を残し、部屋を出て行った。
ティルと二人きり?になったぼくは、改めて部屋を見渡した。
広さはホテルのツインルームくらいだったが、家具がキングサイズはあろうかという大きなベッドしかない。奥にある扉は、バスルームへと続いているのだろうか?
まずはシャワーでも浴びて・・・とそこまで思った時に、バフン!という音がした。
見ると、ティルがベッドに飛び込んでいた。白いシーツに体を擦り付けるようにして、文字通りゴロゴロしている。
あのまんまるい、青み掛かった目とぼくのが合った。ねぇ、コッチへ来てよ。と言われているような気がした。
ぼくはベッドへと近付き、乗り上げた。ついた膝がグラグラする。ウォーターベッドだった。ティルが体を揺すったので、さらにベッドは波打った。
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