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エレベーターを呼び乗り込むと、さっきと同じように勝手に動き始めた。
受付にはまるで、一部であるかのように男が収まっていた。
男はぼくの顔を見ると、微笑んだ。
「お疲れ様でした。またのご来店をお待ちしております」
あくまでもぼくの想像だが、客にいちいち説明するかは別にして、こういう種類の店の料金システムはきちんと確立されている。
普通は、一円でも多くの金を使わせようとするものだった。
今回は初回でタダだとしても、金が入ってくる「次回」については何も、男は話そうとはしなかった。
・・・まさか、本当に「お待ちして」いるだけなのだろうか?
「あ、あのっ!」
「はい。何でしょうか?」
ぼくへと応じる男はどこまでも丁寧で、礼儀正しい。
ぼくは試されているのかも知れないと思った。
ぼくは思い切って、口を開いた。
「この店の会員になりたいんだけど・・・どうしたらいいのかな?」
ぼくの言葉に男は、
「ありがとうございます」
と全く同じ調子で応えた。
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