1 ミルク

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 エレベーターを呼び乗り込むと、さっきと同じように勝手に動き始めた。 受付にはまるで、一部であるかのように男が収まっていた。  男はぼくの顔を見ると、微笑んだ。 「お疲れ様でした。またのご来店をお待ちしております」  あくまでもぼくの想像だが、客にいちいち説明するかは別にして、こういう種類の店の料金システムはきちんと確立されている。 普通は、一円でも多くの金を使わせようとするものだった。  今回は初回でタダだとしても、金が入ってくる「次回」については何も、男は話そうとはしなかった。 ・・・まさか、本当に「お待ちして」いるだけなのだろうか?  「あ、あのっ!」 「はい。何でしょうか?」 ぼくへと応じる男はどこまでも丁寧で、礼儀正しい。 ぼくは試されているのかも知れないと思った。  ぼくは思い切って、口を開いた。 「この店の会員になりたいんだけど・・・どうしたらいいのかな?」  ぼくの言葉に男は、 「ありがとうございます」 と全く同じ調子で応えた。
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