第二話

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「明日からこなくていいなんて言われたらどうすんだよ、こんないい会社首になったらどうやって仕事探す」 ぶつぶつという俺を覗き込む。 「ウワー」 「何言ってるんだ?」 「きみには関係ないから」 「何で関係ないんだ?君のボスは僕なんだろ?」 「ボスはボスでも、モー、わかんなくなってきた、言葉の壁、消えろ!」 チンと開いたドアには、きれいな女性が頭を下げていた。 「秘書課の方ですか?」 「はい、北山さん?」 「はい、ここでお引き渡してよろしいでしょうか」 「あ、はい、副社長、こちらへ」 ハミエルの腕を彼女に渡そうとした。 「逃げないように、な、何すんだよ!」 くるっと腕を返し、俺の腕をつかんだ、そして、社長室へとずんずん歩く。 「は、離せ!ねえ、どうにかしてよ!」 彼女もおろおろ、そのうちドアを開けた。 「ハミエル!」 副社長と言うどよめきのような声。 十人ほどいただろうか。 「日本の会社という組織は、暇なのですね、あなた方はここで何をしていたのですか?」 そう言った彼は、上司の顔だ。 朝からかわらないメンバー、ここは君たちのオフィスかと聞く。 違います、ここはあなた様の。 「私の仕事の事なら心配していただかなくて結構、仕事をしたまえ」 ハハハと大きな笑い声、そこには会長が座っていらっしゃった。 「威勢がいいな」 「会長、仕事は任せてくれるのではありませんか?」 「任せるよ、でも日本のやり方もあるからね」 「そうですか、わかりました、でしたら、彼に聞きます、私の秘書は誰でしょう、気に入らなければすぐにチェンジします」 そう言うと、さっきついてきた女性は少し後ずさりをした。 「君は、私には向かない、優秀な男性秘書を一人、私には24時間ついてくれるものが一人と、昼のバックアップが出来る男性を一人頼みたい、24時間は彼にやってもらう」 俺の腕をぐっと引っ張ると首に巻きつけた。
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