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第二話
俺の部署は総務課の何でも屋、いわれたことだけしてればいいだなんて言われるけど、俺だってプライドを持って仕事をしてるんだ。
まあ、同じ会社での恋愛なんてうまく行く訳もなくて、俺は捨てられた。相手は、女を選んで結婚するんだとさ、くそっ、せっかく忘れかけてたのにって、ハミエルで、だいぶ救われたな、ハハハ、今頃あいつ何やってんのかな?
「北山さん二番に電話」
「はい、お電話変わりました」
坊ちゃん?その声
「ハミエル?」
助けてくれという、今どこ?
トイレの中
「携帯電話?」そうだという。
そこを動かないでと言い、俺の番号を教えた。
「席外します、30階トイレの電気交換、ちょっと見てくれだそうです」
上司は分かったと言って、俺は出た。
30階?なんでだ?
朝のあの様子じゃ、社長室以上のビップの客、とかだろう、そうなると、うちの会社のビルは、高層ビルの上のほうにあるから、30じゃ下の方だよな。
ワンフロアにトイレは三か所ある、電話した、どこ?エレベーターホールからよろきょろ。レフト、一番奥、非常階段のそばのトイレ。
ドアを開けるとトイレがずらりと並ぶが誰もいるような感じじゃない、個室、あ、赤になってる、人がいる?
声をかけた。
「ハミエル?」
バンと扉が開いた。
「坊ちゃん!」
そこにいたのは出て行った時とまるで違うスーツ姿のハミエルが耳に携帯電話を当てたまま俺に抱きついてきた。
ジーンズとТシャツ、服は?
わからない、これを着せられた。
まずは落ち着こう、君は、何しにこの会社へ来たのか?
「僕?」
「そう君?」
「僕は、アメリカ支社長、日本じゃ副社長?とか?じいちゃんに呼ばれて日本に来たんだ」
「アメリカ支社?ってことは、うちの…?ウソ、嘘、金髪、社長日本人」
「マミーはアメリカ人だよ」
ガーン、やってもうた。
上司、それも社長の御子息。首だな。
「もう、なんであんなにいっぱい人がいるの、俺が動くたんびにぞろぞろついてくる、おかしいよ」
んー、こればかりは何とも言えない。
それじゃなくても彼を差し出したところで、何が変わるでもなし。
でも彼は、確か、社長の後を継ぐために来られたと聞いているが、ん?次期社長?確かもう一人?はあ、どうしたらいいものか。
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