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「坊ちゃん、総務は何をしている?」
俺のところ第三総務課は、雑務ばかり、電球交換から、コピー機の修理、ほかの課から回ってくる資料作りなど様々。
「俺を連れて行って?」
「は?」
「俺、そこで仕事する」
彼は携帯をいじり始めた。
「おじいちゃん、俺、総務課で仕事するから、よろしく」
はーあー?
「行こう、それでね、お昼は、俺につきあって」
いや、いや、俺弁当持ってきてるし。
「えー」
「エーって言われてもなー、社食行く?」
社食?
Yes社員食堂。
一度、総務課へと戻った、慌てて走りよる上司、連絡がすぐに着たのだろう。
「北山君、これはどういうことだね」
「俺も分かりませんよ」
彼はきょろきょろ、勝手にみんなのデスクをのぞきまわっている。
みんなもドギマギ、青い目の彼をどうしていいものか。
「日本語話せますよ」
みんなのほっとしたような声が聞こえはじめる。
「ハミエル」
呼ぶと、とっとっとと軽く走り込んで俺の横に並んだ。こんなところは子供みたいだよな。本当にかわいい、俺よりでかいのにな。
「ハミエル長谷川です、ただいま勉強中です、よろしく」
係長に手を差し出した。握手?
「長谷川?まさか、会長?」
「彼は副社長だそうです」
「ふ、副社長?!」
もう驚き方半端ないし。まあいいや、仕事は上司が教えるだろうし。
それから、昼まで、係長は俺に彼を預けた。というか押し付けた、まあいいけどさ。
パソコンで検索。自分の会社を調べてる。
お!やっぱりそうだ、彼の上にお兄さんがいる、ケイン、ありふれてる?いや、いやそんなことじゃなくて。なぜ?弟が呼び寄せられた?んー?
「ねえ、お腹すいたー」
「もう少し、さっきおやつ食べたでしょ、時間にならないと」
「どうぞどうぞ、北山、早いが行ってこい」
「いいんですか?」
「ちゃんとしたの食わせろ、間違っても社食なんか行くなよ」
「はー?行きますよ、何様だってんだ」
「バカー副社長様だ!」
「はい、はい、行ってきます」
彼は何を言っていたんだ?係長の事だろう、そこはスルーしてほしかった。さあね。とだけ答えておいた。
「お、誰もいない」
「ひろいね」
結構うちの社食は、おいしいと思う、それに景観もいい、下手な喫茶店や食堂に入るくらいならずっといい。
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