第二話

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「坊ちゃん、総務は何をしている?」 俺のところ第三総務課は、雑務ばかり、電球交換から、コピー機の修理、ほかの課から回ってくる資料作りなど様々。 「俺を連れて行って?」 「は?」 「俺、そこで仕事する」 彼は携帯をいじり始めた。 「おじいちゃん、俺、総務課で仕事するから、よろしく」 はーあー? 「行こう、それでね、お昼は、俺につきあって」 いや、いや、俺弁当持ってきてるし。 「えー」 「エーって言われてもなー、社食行く?」 社食? Yes社員食堂。 一度、総務課へと戻った、慌てて走りよる上司、連絡がすぐに着たのだろう。 「北山君、これはどういうことだね」 「俺も分かりませんよ」 彼はきょろきょろ、勝手にみんなのデスクをのぞきまわっている。 みんなもドギマギ、青い目の彼をどうしていいものか。 「日本語話せますよ」 みんなのほっとしたような声が聞こえはじめる。 「ハミエル」 呼ぶと、とっとっとと軽く走り込んで俺の横に並んだ。こんなところは子供みたいだよな。本当にかわいい、俺よりでかいのにな。 「ハミエル長谷川です、ただいま勉強中です、よろしく」 係長に手を差し出した。握手? 「長谷川?まさか、会長?」 「彼は副社長だそうです」 「ふ、副社長?!」 もう驚き方半端ないし。まあいいや、仕事は上司が教えるだろうし。 それから、昼まで、係長は俺に彼を預けた。というか押し付けた、まあいいけどさ。 パソコンで検索。自分の会社を調べてる。 お!やっぱりそうだ、彼の上にお兄さんがいる、ケイン、ありふれてる?いや、いやそんなことじゃなくて。なぜ?弟が呼び寄せられた?んー? 「ねえ、お腹すいたー」 「もう少し、さっきおやつ食べたでしょ、時間にならないと」 「どうぞどうぞ、北山、早いが行ってこい」 「いいんですか?」 「ちゃんとしたの食わせろ、間違っても社食なんか行くなよ」 「はー?行きますよ、何様だってんだ」 「バカー副社長様だ!」 「はい、はい、行ってきます」 彼は何を言っていたんだ?係長の事だろう、そこはスルーしてほしかった。さあね。とだけ答えておいた。 「お、誰もいない」 「ひろいね」 結構うちの社食は、おいしいと思う、それに景観もいい、下手な喫茶店や食堂に入るくらいならずっといい。
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