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「お前一人で来いって…、何が目的なんだろうな」木村がクラクションを鳴らす。もちろん何も起こらない。
「さあ…、拐いすぎて、邪魔になったんじゃないか」
「それは一理ある」
「自殺と関係はあるのかな」
「信用を失って先生たちもおかしくなったんじゃないか」
「これだけ続けば来年は新入生来ないかもね」
「そうだな」
カーナビの時計は一時四十分を示していた。到着まで、およそ十分。
「困ったら超能力でもなんでも使って逃げろよ」木村が話す。
「ハナからそのつもりだよ。木村こそ、隠れておいてよ。一人で来いって言われてるし」
「そっか。…じゃあ、お前が助手席に居るのはまずくないか」
「確かに」
「替わるか」
そう言うと木村はブレーキを踏み、道路の脇の方に車を停めた。
「運転免許持ってる?」「一応は。ペーパーだけど」「なら良し」
バコっと、閑静な路面にドアの開く音が響く。
「んんーん」せっかくなので、と小山は大きく伸びをした。かなり田舎の方だからか、星がとても綺麗だった。
「ほら、どけよ」木村が助手席に乗り込む。
「もう行くのか…」
「命がかかってるんだぞ」
バコっと、閑静な路面にドアの閉まる音が響いた。
SA夕日町は、無人の、トイレだけがぽつんと佇む寂しいところだった。
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