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そもそも木村は二枚目な方だったので、小山にとったら意外でもなかったのだが、羨ましさもあってか、驚きを隠せなかった。
「あれ、中川さんだろ。結構人気らしいぞ」
「そうなのか…、照れくさいな、これ」
「まって、内容を当てる。『放課後、屋上で待ってます』だろ」
木村は紙を開いた。ついでに目も見開いた。「正解だ」
しかし、その5時間後、いわゆる放課後、木村は危機に陥っていた。
「お前、中川に告られたそうじゃないか」指を鳴らすのはいかにも、といった出で立ちのザ・ガキ大将、本山だった。取り巻きは二人だった。
「呼ばれただけだって」
人気のない南校舎で、木村は一人無力な状態にいた。相手は、停学も辞さない熊のような男。と、取り巻き。どう見ても、穏便に済ませる方法は無さそうだった。
自分を弱く見せたらやられる、そう木村は感じていた。
「それにしても、中川さんってそんなにかわいいもんかね」
拳が飛ぶ。前言撤回、強がってもやられるようだ。衝撃にバランスを崩し、膝を床につく。
「煽ってんのか、ああ?」
「人気者は辛いなあ」
また拳が飛んだ。
「こっちから音がしたような…」そういった拳と軽口の応酬の中、ふらっと現れたのは小山だった。
「あ、いた。木村、探したんだぞ」
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