満ちた月のように

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ケンカしなきゃ良かった。 こんなに綺麗なお月様、一緒に見られないなんて。 やっぱり仲直りしよう。 私のゴメンでこのお月様を一緒に見られるのなら……。 そう思ってスマホを取りに行こうとして鳴ったインターフォン。 誰だろう。 急いでカーテンを閉めて部屋の明かりを付ける。 「はーい」 『俺』 小さな画面に映ったのはケンカ真っ最中の彼だった。 「……どうしたの?」 そっとドアを開ける。 嬉しい。 ケンカしてた事なんて無かったようにキュン、と鳴る。 会いたいと、思っていたのは私だけでは無かったのかな。 少しはヨシ君もそう思ってくれていたなら嬉しい。 いつも私の方が『好き』が強い。 だって『愛してる』も『大好き』も聞いたことがない。 ヨシ君は本当に私の事好きなのかなって、ずっと心配だった。 それがとうとう爆発したのがケンカの発端。 「いや、なんていうか、その……。あ、これ肉まん」 私の好きなコンビニの包みを気まずそうに掲げて見せる。 それを受け取るとまだホカホカと暖かかった。 「あ、中入って」 「ん」
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