卒業

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卒業

「ごちそうさまでした!」 「お、いつもながら、良い食べっぷりだな。 それで…どうだった?」 「うん、とっても美味しかったよ! お腹は十分満たされるのに、カロリーがこんなに低いなんて最高だよ。 これは、女の子に絶対気に入られると思う。」 「そっか、良かった。」 秀兄は、嬉しそうに微笑んだ。 子供の頃から変わらない無邪気な笑顔。 私はこの笑顔に弱い。 この顔を見ていると幸せで、めろめろになってしまう。 でも、そんなことを悟られてはいけない。 私は、秀兄にとって妹みたいな存在。 だからこそ、今、私はこうやって秀兄の傍にいれて、良い関係を築けてるんだから。 秀兄に対して、子供の頃とは違う感情を抱き始めたのはいつごろからだっただろう? 最初は、お兄ちゃんみたいな気持ちだったと思う。 秀兄は、当時からとっても優しくて、ちっちゃかった私と面倒がらずに遊んでくれた。 友達がサッカーしようって誘いに来ても、私とおままごとをしてくれた。 秀兄が中学になった時、初めて見た学ラン姿の秀兄がなんだかすごく遠くなったように感じた。 秀兄自身は何も変わらなかったのに、私の方がなんだか近付けなくて、それでちょっと疎遠になって… でも、そんな関係性も、秀兄のおかげでまた元に戻った。 なのに、秀兄は都会の大学に行ってしまって… 会えない日々はとても寂しかったけど、その間もメールや電話で何とか繋がって… 秀兄は二年で大学を辞めて、レストランで働き始めた。 秀兄が料理に関心を抱いてたなんて全然知らなかったから、あの時はすごくびっくりした。 それからしばらくして、私は、秀兄が住む町の大学に進学した。 それは、偏に秀兄の傍にいたかったから。 そう、私の気持ちはすでにその頃には恋愛感情に変わってたんだ。
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