卒業

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「そろそろ帰ろうか。」 「うん。」 秀兄のアパートと私のアパートは、歩いて5分もかからない。 レストランからも、歩いて10分程だ。 「祥子、卒業したらどうするんだ?」 「え?……う、うん、実はまだ決めてなくて…」 「まだ決めてないのか?何も?」 「う、うん。」 「そうか……」 気まずい沈黙… こんな時期にもなって、私がまだ何も決めてないから、呆れられてしまったのかもしれない。 「お前、何かやりたいこととかないのか?」 「え?……これといって特には……」 「そうか……」 また秀兄を呆れさせてしまった。 私って本当にダメな奴だ。 秀兄みたいに夢を持って、その夢に向かって進んでる人からしたら、私みたいなのはとてもつまらない人間に感じられることだろう。 いつもとは違って、なんとなくぎこちない雰囲気のまま、いつしか秀兄のアパートに着いてしまった。 「じゃあ……」 「祥子、実は、お前に話したいことがあるんだ。 ちょっと寄って行かないか?」 「えっ?」 ついに来た。 真由さんとのことだって、私は直感的に感じた。 きっと、結婚が決まったんだ。 私は泣きそうになるのを懸命に堪えて、小さく頷いた。
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