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今は早春。
身を切るような澄み切った冬の寒さがまだ残る頃。
開けた広場に一人の少女が寒そうに立ち、出来立てホヤホヤの湯気が立つ大ぶりのホットドッグにかぶりついていた。
そこに一人の少年がやってくる。
A「あ、やっときた、おっそーい」
B「何がおっそーいだよ、これでもスクーター飛ばして来たんだよ?」
A「今日はもう授業もないし、これからイケダ屋のスイーツ巡りに行ってみない?」
B「まあ、学校が早く切上がったからいいけど、お腹は大丈夫?」
A「大丈夫だよ、これでもスイーツは別腹だから!」
B「違うよ、『これ』以外にも色々と食べてるんじゃない?」
A「えへへ、ばれたか。確かにあんまんとかおでんとか沢山あったかいモノ食べてました」
B「ほんとうに…。これだけ食べてまだ腹三分目なんだもんなあ。これで満腹じゃないなんて不思議だよ」
A「ひっどーい、人を何だとおもってるの?」
B「可愛い顔した、妖怪クイシンボウ」
A「それはそうと早く行こう、イケダ屋のスイーツってどれも魅力的なメニューばかりで選ぶのにもえらい時間かかるってさ」
B「え、それは凄く楽しみ!」
きゃらきゃらと目まぐるしく表情を変えながら、口の悪さに反比例するかのように気安い応酬をしつつ、二人は仲良く広場を去って行った。
これから目当てのスイーツ巡りに向かい、商品全てがとても魅力的なラインナップで網羅されている事で有名なメニュー表と挑めっこするために。
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