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③三戸城
南部家の大評定が始まる。
八戸政栄「南部家評定を始める。議題は次期当主についてじゃが意見ある者は居るか?」
北信愛「南部信直殿を当主に御推挙申し上げまする。」
政栄「当然と言えば当然じゃな。一同異議無いか?」
九戸政実「お待ちください。大殿殺しの下手人が家督を継ぐなどということがあってなりませぬ。」
評定衆がざわつく。
信愛「ほう。証拠があるということですかな?」
政実「晴継様まで相次いでお亡くなりになったことが何よりの証拠にございます。」
信愛「偶然が重なっただけのこと。それでは証拠になりませぬ。」
政実「田子殿(南部信直)は大殿に向けて鉄砲を放ったことがございますれば、殺意は明白でございますぞ。」
信愛「その件につきましては、和議が整っておりますので、今更持ち出さないで頂きたい。」
政実「田子殿は自ら廃嫡を申し出たのだから当主になる資格など無い。某は、大殿の娘婿である我が弟、九戸実親を御推挙申し上げる。」
信愛「大殿の娘婿と言えば、信直殿も大殿の娘婿にございます。大殿殺しの件はもうよろしいのか?よろしければ、採決しようではないか。」
政実「当主を決めるのは家臣全員の一致ではないのか?」
政栄「それでは埒が開かない。」
信愛「ならば、九戸殿が信直殿の家督継承を認めてくだされ。さすれば一致となりましょう。」
政栄「良いか?採決を取るぞ?」
北信愛の根回しは完璧。しかも、私兵を三戸城に入れて万全の体制。九戸政実は押し切られてしまった。信直が南部家の家督を継承。三戸城に入る。
これで、為信は南部家に帰参するという選択肢は消えた。
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