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泣き虫だった私。
転んで痛くて。
ちょっと悪口言われただけで。
すぐ泣いてしまう。
いつも泣いてるから。
最近、誰も泣いてる理由を聞かなくなった。
心に傷を負ってもしらんぷり。
ある日。
階段で転んで泣いていたら。
通りかかったのは転校生。
お父さんのお仕事で引っ越してきた男の子。
日焼けして、冬なのに真っ黒な顔してた。
泣いてるとこ見られて。
恥ずかしくて。
顔を背けたら。
「女の子を泣かせるなんて、悪い階段だなぁ」
お日様みたいな笑顔で手を差し伸べてくれた。
その手が温かくて。
気持ちが優しくて。
気付いたら涙が止まってた。
不思議。
心がぽかぽか。
ちょっとむずかゆい。
この気持ちは何……?
あの日以来、いつも君を目で追ってしまう。
この気持ちの名前に気付いたのは。
半年後--。
君が転校してしまった後のこと。
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