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お母さんの仕事の事情で、七歳の頃まで住んでいたお母さんの生まれた地域に戻ってきた。その頃よく遊んでくれた緋色姉さんは元気だろうかと思いながらも新しく始まる生活に不安を隠せない。前の学校ではお父さんの仕事の都合でほんの一月しか居られなかったし、何分凄く微妙な時期に来たから珍しさで声をかけてきた同級生もあっという間に離れていき、私は一人になっていった。今度こそ、そんなことは無いようにしなくちゃ。
そしていよいよ、私が新しい学校の門をくぐるという時。
「っし、行くか!」
と踏み出した瞬間、なにか白いものが私の胸に飛び込んできた。慌てて咄嗟に受け止めれば、上空からまた別の声がする。低く、いろんな人の声が混ざったような声だ。
「そいつをよこせぇぇえ!!」
その声に私は驚き咄嗟に校舎の方に走り始める。しかしやつも追いかけてくる。
「もーなんなの!?」
私は後者の中に転がり込んでドアをしっかり閉める。しかしやつはドアを開けようと取手に手をかけた。そのとき、初めて自分の胸に飛び込んできたものがなにかを初めて見た。
「狐…?九尾の狐!?」
そう、まるで雪のように真っ白な狐だったのだ。しかも九尾の。我が目を疑った私は、ドアを開けようとする手に目の前の状況に引き戻された。
そんなとき、頭の中で不思議な声が聞こえた。
(ミツキ…ミレイ ミツキ…。)
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