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ネットなんかやっていると、いろんな人と出会うことになる。精神がぐらついている僕は広い意味で「病み垢」と呼ばれる界隈に身をひそめていた。病み垢をやっている人というのは、分かりやすい例でいうと自傷行為「リストカット」「オーバードーズ(OD)」をしていたり、精神的な疾患を持っていたり。またはその経験があったりした人々が多い。
僕はスマホを買い与えられた高校1年生の頃からそこにいた。僕自身、15歳にして生きているのがつらかったから。その界隈の存在をしったきっかけはなんだったかな。好きな絵を描く人が創作したものを掲載するサイトで「本垢」と「病み垢」をリンク付けしていたからな気がする。
ネットの中のあの人が僕の中であこがれだったのだ。
3歳違いの女性だった。当時は18歳だったと思う。高校中退して、しばらく無の状態をおいてからだったときいたので出会った頃は定時制高校に入学したばかりだった。ハンドルネームの「けいちゃん」とよく呼ばれたものだ。あ、もう1つ。彼女は僕と同じく、一人称は「僕」だった。
彼女の病名はもうとっくに忘れてしまったが、酷い自傷行為をしていたのは記憶している。皮下脂肪まで切るリストカットのせいで傷は残るし、腕全般にしていたので長袖を着ることができない。カフェインをひたすらに取っていた。これのどこが自傷行為なのか、当時の僕はまだわからなかった。薬もたくさん飲んでいた。薬の名前は気に留めていなかったので覚えていないが、よくやる風邪薬などだったのかもしれないし、処方された薬だったのかもしれない。瀉血だってしていた。
「なつめ、今日はどこかでかけるの?」
ぼんやりと思い出に浸っていると、恋人からメッセージが来ていた。精神的な病気があの頃よりも悪化してしまった僕は数か月前から自宅にいる生活を送っていた。ぼんやりとした頭のまま、手早く返信する。
「散歩くらいかな」
そう打ち込むとすぐにスリープモードにし、枕に顔を突っ伏した。自室のカーテンもあけていない。朝食もとっていない。排泄のためにしか今日は布団の中からでていない。
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