あの日

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 こんな思い出に浸っていてもしかたない。僕は誰にも言わずに、かつ1つの目標を立て、5分かけて起き上がった。 「総合風邪薬が欲しい…」 昔の記憶に残っている女性を思い出したからではない。もはや癖になっているのだ。癖。のそのそと重いからだを持ち上げながら歩き、15分程度で近所のドラックストアへ到着した。「いらっしゃいませ」という店員が僕を見ている気がする。多分、あれだ。目が死んでるし、よれよれのパーカーに下は高校の頃のジャージ。履きものに関してはサンダルをつっかけてきただけだ。頭髪も見るに堪えない状態になっているだろう。  身だしなみを確認する余裕もない。散歩という口実で84錠入りの総合風邪薬を購入し、また帰りものそりのそりと歩いていく。うまくバランスが取れずに車道へ出そうになる。これは死にあこがれているからなのか、はたまた脳みそのバグなのか。今の僕にはわからない。  84錠を一気に飲んでしまうのはもったいない。やっとの思いで帰宅し、自室で総合風邪薬を開封した。説明書を見ずに捨てるようになったのはいつからだろうと頭の隅っこで思いながら説明書を見るなりゴミ箱へ捨てた。  とりあえず今日は20錠でいいか。  1日20錠で行くと、4日で底を尽きる計算になる。しかし今の僕の精神は精神が死んでいるのでやむをえない。明日、飲みたく無かったら飲まなければいい話であるし。10錠ずつにわけで、白い錠剤を飲み干し、ぼんやりとつけっぱなしになっていたパソコンの画面に目を向ける。 「あれ?昨日パソコン使ったっけ?」 使った覚えはない。しかし、常識のなっていない妹の帰りはおそいため、僕が寝ている隙にパソコンを勝手にいじっている可能性はある。ちなみに、パスワードはわざわざ書き起こして妹に渡したので充分ありえる話だ。 「ったく、動画でもみるか…」 胸やけのような気持ち悪さを感じながら僕はパソコンの前に移り、そのままになっていたブラウザを見つけた。タブがいくつか開かれている。  1つは動画サイト、2つは創作系サイト、3つは何か難しいことが書いてあるサイト…。最後のタブはすぐにとじ、動画サイトでBGMをかけることにする。じゃあ、暗めの曲を探そう。
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