とける

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朝、洗面所で顔を洗った。ふと、鏡を見た。なぜか鏡がとけている。寝ぼけているだけだと思った。そして、もう一度鏡を見ると、鏡ではなく、私の顔がとけているようだった。 おそるおそる自分の頬を触った。とけているような感触は無い。 少しだけ安心した。 「絵理、早く学校に行きなさい。遅れても知らないからね。」 母は私を見て、平然と言った。 その瞬間、自分の顔がとけていることなんて、どうでもいいと思った。 きっと自分以外は、私が正常に見えていると気付いたからだ。それなら、顔がとけていると訴えても、信じてもらえないだろうし、私の精神がおかしくなったと思われる方が辛かった。 「いってきます」 私は家を出た。
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