時代が動く

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タカトラは布団を畳んで、ストレッチをした。戦国時代から戻って来た。  ルーサルカと戦わないといけないかも知れない。のんびりはしてられない!  朝飯を済ませチェックアウトした。  湖周辺を散策したが何も現れなかった。霧がかかっている。  送迎バスに乗りJR上総亀山駅にやって来た。 「フェンリルが現れるって噂だ」  海北綱親が駅前にいた。浅井氏の重臣だ。 「フェンリルってあの人食い狼か?」 「うむ、グレイプニルって伝説の鎖で倒すことが出来る」  グレイプニルを探さなくちゃな?  昼過ぎに銚子海洋研究所にやって来た。銚子駅から千葉交通バスに乗って、『千葉科学大学マリーナ前』で下車、歩いてすぐのところにある。船に乗り沖合に出る。親潮と黒潮が合流している。  野生のクジラがビックジャンプをしている。潮を吹いている。  彼女のことを思い出した。  戦国時代は女でも子供でも容赦なく戦に駆り出される。無事だろうか?  黄昏の九十九里浜にやって来た。 「あーあー、九十九里浜ァッ!」  サムライが鎖をグルグル回しながら戦いに挑んできた。どこかで聞いたことのある歌だ。歌いながら戦いに挑むやつなんて初めて見た。 「拙者は宍戸梅炎」  宮本武蔵と戦い、破れた宍戸梅軒の父親らしい。 「梅毒みてぇな名前だな?」 「失礼なことを抜かすな!」  タカトラはハチマキを巻いた。力が漲ってくる。ハチマキをすれば彼女も数秒で悦楽の園へ連れていけるかも?  こんな所で死ぬわけにゃあいかねぇ!  砂浜で馬に乗る体験が出来るらしく、トレイルしていた禿頭のオジサンが叫び声を上げている。馬が暴走をはじめた。 「キェェェェッ!」  馬がこっちにやって来る。  呆気にとられていた梅炎にライダーキックを喰らわせた。  梅炎は消滅し、グレイプニルを手に入れた。  禿頭の正体は阿閉貞征だった。  さっきあった海北は部長クラス、彼は課長クラス、タカトラは平社員だ。 「浅井はもう長くはない、そうは思わぬか?」 「室町幕府も崩壊してしまいましたし?」 「うん、今までは幕府の命令で動いていたが、王将が詰まれてしまっては勝負にならない」  現に離脱者がたくさんいる。 「もう、足利の時代は終わったんだ。向こうで待っておるぞ?」  そう言い残し貞征は姿を消した。      
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